外国人のアルバイトデメリットは?在留資格とルールを徹底解説!

外国人はアルバイトできるのか?
外国人が日本でアルバイトできるかどうかは、多くの企業や外国人本人にとって大きな関心事です。結論から言えば、すべての在留資格で自由に働けるわけではなく、就労が認められる在留資格と認められない在留資格があります。
特に留学生や家族滞在の在留資格を持つ外国人は、「資格外活動許可」を取得すれば一定の範囲でアルバイトが可能になります。一方で、技能実習や短期滞在など就労を目的としていない在留資格では、原則としてアルバイトは認められません。
実際、日本ではおよそ30万人以上の留学生が学びながら生活費を補うためにアルバイトをしているといわれ、コンビニ、飲食店、清掃業、小売業など幅広い分野で活躍しています。
こうした背景から、企業側も外国人をアルバイトとして受け入れる機会が増えています。しかし、在留資格の種類を正しく理解せずに雇用してしまうと、不法就労にあたり企業側にも罰則が科される可能性があります。
採用時には「そもそもこの資格で働けるのか」を確認することが何より重要です。
アルバイトが可能な在留資格
アルバイトが可能な代表的な在留資格は大きく分けて3つあります。
留学ビザ:最も多いケースで、資格外活動許可を取得すれば原則週28時間以内のアルバイトが認められます。長期休暇中は週40時間まで拡大できる特例もあります。
家族滞在ビザ:扶養されて生活することを前提としていますが、資格外活動許可を得れば週28時間以内のアルバイトが可能です。配偶者や子どもが日本で生活費の一部を補う目的で働くことが多いです。
身分系の在留資格(永住者・日本人の配偶者等など):これらは就労制限がなく、アルバイトに限らずフルタイムの就労も可能です。自由度が高いため、安定して働ける人材として企業にとっても採用しやすい層です。
このように、在留資格によって働ける範囲や条件は大きく異なります。企業は在留カードの記載内容を必ず確認し、資格外活動許可の有無を見落とさないことが重要です。
アルバイトが認められない在留資格
一方で、アルバイトが一切認められない在留資格もあります。
技能実習ビザ:技能習得を目的とするため、副業やアルバイトは認められません。実習先以外で働くことは制度違反になります。
特定技能1号ビザ:フルタイムでの就労を前提としているため、副業やアルバイト的な働き方は認められません。
短期滞在ビザ:観光や親族訪問が目的であるため、アルバイトは全面的に禁止されています。
これらの在留資格保持者をアルバイトとして雇用した場合、本人は不法就労とされ、企業も「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。企業が「知らなかった」と主張しても免責にはならないため、採用時の確認体制は必須です。
資格外活動許可と労働時間の制限
外国人がアルバイトをする際に最も重要なのが「資格外活動許可」と「労働時間の上限」です。
就労ビザを持っている人であれば原則としてフルタイムで働けますが、留学ビザや家族滞在ビザを持つ人の場合は、資格外活動許可を取得しなければ一切の就労が認められません。つまり、この許可がアルバイトの可否を分ける鍵になります。
さらに、資格外活動許可を得ても「どの程度の時間働けるのか」という制限が厳格に定められています。とくに留学生の場合は「学業が主」であるため、アルバイトはあくまでも補助的活動として位置づけられています。
制度を誤解してしまうと、本人はもちろん企業も不法就労のリスクを負うことになるため、正しい理解が不可欠です。
資格外活動許可の仕組み
資格外活動許可とは、本来の在留資格で認められていない活動を例外的に認める制度です。
たとえば留学ビザを持つ人は「勉強」が主目的であり、通常は就労はできません。しかし資格外活動許可を取得することで、週28時間以内という制限のもとでアルバイトができるようになります。
申請は地方出入国在留管理局で行い、申請書に加えて在学証明書や在籍確認書などを提出します。許可が下りると、在留カードの裏面に「資格外活動許可あり」と記載され、これがアルバイト可能の証明になります。採用企業としては、この記載を必ず確認しなければなりません。
資格外活動許可を得ずに働いた場合、それは「資格外活動違反」とされ、不法就労に直結します。最悪のケースでは在留資格の取り消しや退去強制処分となり、その後の再入国が難しくなる可能性もあります。
企業側も「不法就労助長罪」に問われる可能性があるため、採用前に必ずカードを確認することが鉄則です。
週28時間ルールと例外
資格外活動許可を得た場合でも、アルバイトできる時間には上限があります。最も代表的なのが「週28時間以内」というルールです。これは、留学生が学業に支障をきたさない範囲で働けるようにするために設けられています。
具体的には、平常時は週28時間以内に制限されますが、学則で定められた長期休暇期間(夏休み・冬休み・春休み)に限り、週40時間まで就労が認められる特例があります。
しかし、これは「休暇中のみ」の例外であり、学期中に40時間働くことは違反になります。実際、アルバイト先が複数ある場合、それぞれの勤務時間を合算して28時間以内に収める必要がある点も誤解しやすいポイントです。
違反が発覚した場合、外国人本人は在留資格の更新が認められなくなるだけでなく、退去強制処分を受けるリスクもあります。また、企業にとっても罰則が科される可能性があるため、勤務時間の管理を怠ってはいけません。
実務上は、シフト管理表や雇用契約書を通じて労働時間を明確に把握し、本人任せにしない体制づくりが重要です。
違反した場合のリスク
外国人のアルバイトは、在留資格や資格外活動許可の有無、労働時間の上限といったルールを守ることが前提です。これらを破ってしまった場合、最も大きな影響を受けるのは外国人本人だけでなく、雇用した企業も例外ではありません。
違反は「少し働きすぎた」程度では済まされず、法律上は不法就労として扱われることになります。その結果、在留資格の取り消しや退去強制、企業への罰則といった深刻な事態に発展する可能性があります。
不法就労と在留資格取消の可能性
資格外活動許可を得ずにアルバイトをする、あるいは週28時間の上限を超えて働くと、外国人本人は「資格外活動違反」として不法就労に該当します。不法就労と認定されると、最悪の場合には 在留資格の取消し や 退去強制処分 が下されます。
その結果、日本での生活や学業、就労の継続が不可能になるだけでなく、将来的に再入国が難しくなるなど、キャリアや生活基盤に大きなダメージを残します。
実際に、留学生が生活費を補うために28時間を超えて働いていたことが発覚し、更新時に在留資格が不許可となり帰国を余儀なくされたケースも報告されています。
一度違反歴がついてしまうと、その後の在留資格申請や就職活動において不利になるため、本人にとってのリスクは非常に大きいといえます。
企業側が受ける罰則
不法就労に関する責任は外国人本人だけでなく、雇用した企業にも及びます。
採用時に在留資格や資格外活動許可を確認せずに雇用した場合、企業は「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。これは 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 という重い罰則が科される可能性があり、経営上も大きなリスクです。
さらに、一度でも違反が発覚すると、企業は「法令を守らない職場」として信用を失い、今後の外国人雇用や在留資格申請が難しくなることがあります。
特定技能や高度人材の受け入れを検討している企業にとってもマイナスに働くため、採用段階から厳格にルールを確認することが必要です。
企業防衛の観点からは、在留カードの確認を徹底するだけでなく、労働時間の記録をきちんと管理する仕組みを構築しておくことが有効です。
本人任せにせず、シフト表や労働契約書を通じて勤務時間を把握し、違反を未然に防ぐ体制づくりが不可欠です。
採用時に企業が確認すべきポイント
外国人をアルバイトとして採用する際に、最も重要なのは「在留資格がアルバイトを許可しているかどうか」を正しく確認することです。
日本人の採用では不要なプロセスですが、外国人を雇う場合には採用時点から法的なチェックが求められます。
確認を怠れば、本人が不法就労に陥るだけでなく、企業自身も法的責任を負うリスクがあります。採用時のチェック体制と、採用後の継続的な管理の両方を整えておくことが、安全に外国人を雇用するための基本です。
在留カードの確認方法
採用時に必ず行うべきなのが在留カードの確認です。ここでは、以下の3点を重点的に確認する必要があります。
在留資格の種類
「留学」「家族滞在」などの在留資格では資格外活動許可が必要です。一方、「永住者」「日本人の配偶者等」などの身分系資格であれば制限なく働けます。どの資格なのかを最初に確認しましょう。
在留期間の有効期限
在留期間が切れている場合は、本人は合法的に滞在できていません。期限が近い場合も、更新予定を確認しておくことが重要です。
資格外活動許可の有無
在留カードの裏面に「資格外活動許可あり」と記載されているかを必ずチェックします。これがない状態で雇うと、たとえ短時間であっても不法就労に当たります。
この3つを確認するだけで、多くの不法就労リスクを未然に防げます。現場任せにせず、人事担当者がルールを理解した上で確認手順を標準化しておくことが大切です。
採用後の管理体制と注意点
採用時の確認に加えて、雇用後の管理体制も非常に重要です。特に留学生や家族滞在ビザで働く場合には 週28時間以内 という労働時間制限があるため、複数の職場で働くケースを想定した管理が求められます。
本人の自己申告だけに頼るのではなく、シフト管理表や勤務記録を通じて労働時間を可視化することが不可欠です。
また、在留資格や在留期間は更新が必要なため、更新期限を把握し、必要に応じて本人に声をかけることも企業の責任の一部といえます。
更新漏れによる在留期限切れは、不法就労に直結するため特に注意が必要です。
さらに、就労ルールを外国人本人にしっかり理解してもらうことも重要です。例えば「学期中は週28時間まで」「休暇中は週40時間まで」といった基本ルールを説明し、必要に応じて母国語の資料を用意するなどの工夫も効果的です。
こうした配慮は、企業への信頼感を高め、長期的な雇用関係の安定につながります。
まとめ
外国人をアルバイトとして採用する際には、「どの在留資格であれば働けるのか」「資格外活動許可が必要か」「労働時間はどこまで認められるのか」といった制度上のルールを正しく理解することが欠かせません。
特に留学生や家族滞在ビザを持つ外国人の場合、資格外活動許可の取得が前提条件であり、週28時間以内という制限を超えて働かせてしまうと不法就労となります。
本人にとっては在留資格の取消しや退去強制という重大な結果につながり、企業側にも罰則や信用失墜といった深刻なリスクが生じます。
一方で、ルールを守り、適切な管理体制を整えれば、外国人アルバイトは人手不足に悩む店舗や企業にとって大きな戦力になります。
実際に多くのコンビニや飲食店、小売業などで、外国人アルバイトが欠かせない存在になっています。
採用の際には在留カードを確認し、資格外活動許可や在留期限をきちんとチェックすること。そして雇用後も労働時間を正しく管理し、本人にルールを周知徹底することが、安心・安全な雇用につながります。
外国人材の活躍は、日本社会に多様性と活力をもたらす貴重な機会です。アルバイト採用にあたっては短期的な労働力確保にとどまらず、将来的に特定技能や高度人材としてステップアップしていく可能性も視野に入れることが大切です。
適切な知識とサポートを持つことで、企業にとっても外国人本人にとっても「Win-Win」の関係を築くことができます。
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