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特定「宿泊」分野の完全ガイド!外国人材採用の手順と注意点

深刻な人手不足が続く宿泊業界において、特定技能制度は外国人材の活用を可能にし、新たな可能性を広げています。本記事では、制度の概要や採用プロセス、成功のポイントを分かりやすく解説します。

特定技能「宿泊」とは

2019年に新設された在留資格「特定技能」は、深刻な人手不足に対応するために導入されました。特定技能制度の対象分野の一つである「宿泊」分野では、ホテルや旅館で働く外国人材の受け入れが可能となり、多様な業務に即戦力として従事できます。

この記事では、特定技能「宿泊」の概要、業務内容、採用手続きのポイントなどを詳しく解説します。

制度の概要と背景

特定技能制度は、2019年4月に日本政府が創設した新しい在留資格制度です。この制度は、深刻な人手不足が課題となっている産業分野において、一定の技能を持つ外国人材を受け入れることを目的としています。「宿泊」分野もその対象の一つで、ホテルや旅館業界での即戦力としての外国人材の活用が可能になりました。

宿泊業界では、訪日観光客の増加や少子高齢化の影響で、慢性的な人手不足が続いています。特に、チェックイン・チェックアウトの対応やレストランサービス、清掃業務などの現場で人材の確保が困難な状況です。このような背景から、日本政府は宿泊分野に特定技能制度を導入し、外国人材の受け入れを推進しました。

この制度により、国内人材では補いきれない部分を解消し、業界全体のサービス品質向上や効率化が図られることが期待されています。

特定技能1号と2号の違い

特定技能制度には、「特定技能1号」と「特定技能2号」という2つの区分があります。それぞれ技能や在留期間、業務内容に違いがあり、宿泊分野においてもその適用範囲が異なります。

特定技能1号と2号の比較表

特定技能 技能水準 在留期間 帯同家族 主な業務範囲
1号 基本的な専門性・技能 最長5年(更新可) 不可 フロント業務、接客、レストランサービスなど
2号 熟練した専門性・技能 無期限(更新可) 可能(条件あり) 1号の業務に加え、指導・管理業務

特定技能2号の宿泊分野への拡大
2023年には特定技能2号の対象分野に宿泊業が追加され、これまで1号のみで対応していた宿泊分野でも、より熟練した技能を持つ外国人材の採用が可能になりました。これにより、複雑な業務や他の従業員の指導を行う人材の確保が進み、業界のサービス向上や人材育成の効率化が期待されています。

特定技能1号は即戦力として現場での業務を担う一方、2号はリーダーシップを発揮しながら他のスタッフをまとめる役割を果たします。これらの違いを理解し、事業規模や業務内容に適した人材を採用することが重要です。

特定技能「宿泊」で従事可能な業務

特定技能「宿泊」の在留資格を持つ外国人材は、宿泊施設における多岐にわたる業務に従事できます。この資格を活用することで、ホテルや旅館は人手不足の解消だけでなく、サービス品質の向上も期待できます。

業務の範囲と具体例

特定技能「宿泊」に基づき雇用される外国人材が従事できる業務は、宿泊施設の運営に欠かせない幅広い内容に及びます。これらの業務には、フロント業務や接客、広報活動、さらにはレストランでのサービス提供まで多岐にわたります。

フロント業務
宿泊施設の第一印象を左右するフロント業務では、以下のような作業が含まれます。
チェックイン・チェックアウト対応
周辺観光地情報の案内
館内設備やサービスの説明
予約や問い合わせ対応

企画・広報
施設の魅力を最大限に伝える広報や企画業務も、特定技能外国人が携わることができます。
キャンペーンや特別プランの立案
館内案内チラシの作成
ホームページやSNSでの情報発信

接客業務
お客様との直接的な交流を伴う接客業務には、以下のような活動が含まれます。
宿泊客の館内案内
問い合わせ対応や要望への対応
館内ツアーやアクティビティの提案

レストランサービス
宿泊施設のレストラン部門でも、多くの業務を担うことが可能です。
注文の受け付けと提供
配膳や片付け
簡単な調理補助や盛り付け

これらの業務を通じて、特定技能外国人は宿泊施設の現場で即戦力として活躍し、施設運営の円滑化に貢献します。また、文化や言語の壁を超えた接客は、外国人観光客への対応力を強化する上でも大きなメリットとなります。

技能実習制度との違い

特定技能制度と技能実習制度には大きな違いがあります。技能実習制度は、外国人が日本で一定期間働きながら技術を学び、母国での発展に貢献することを目的としています。一方で、特定技能制度は、即戦力として日本国内での労働力不足を補うために設けられた制度です。

宿泊業界においては、この違いが特定技能外国人の対応可能な業務範囲にも影響を与えています。

技能実習制度で認められない業務が特定技能で可能
技能実習制度では、実習計画に沿った特定の業務に限定されるため、宿泊施設での広範囲な業務には対応できません。しかし、特定技能制度では、以下のような幅広い業務が可能です:

フロント業務:チェックインやチェックアウト、観光案内、ホテル発着のツアー手配など。

接客業務:宿泊客への館内案内や問い合わせ対応。

レストランサービス:注文対応や料理の配膳・片付け、さらには簡単な料理の下ごしらえ。

企画・広報業務:キャンペーンの企画立案、館内案内チラシの作成、SNSやホームページでの情報発信。

技能実習制度では、例えばフロント業務や広報関連の業務は認められません。また、技能実習では業務の主体が「学ぶ」ことにあり、単純労働が中心であるため、特定技能外国人が対応可能な範囲と大きな違いがあります。

宿泊業界への影響
この違いにより、特定技能制度は宿泊業界の多様なニーズに応える制度として重要視されています。例えば、フロント業務では日本語能力が求められますが、技能実習制度では十分な日本語力を持たない場合もあり、業務範囲が限られることが一般的です。

一方、特定技能制度では、外国人が即戦力として幅広い業務に従事できるため、人手不足の解消に大きな役割を果たしています。
特定技能と技能実習の違いを理解し、宿泊施設での業務に適した外国人材の採用を進めることが、より効果的な人材活用につながります。

特定技能「宿泊」を取得するための要件

特定技能「宿泊」の資格を取得するためには、一定の基準を満たす必要があります。この資格は、外国人が宿泊分野で即戦力として活躍するための条件を設定しており、求められるスキルや知識を明確にしています。

必要な試験と資格

特定技能「宿泊」を取得するには、宿泊分野に特化した技能試験と日本語試験の両方で一定の基準を満たす必要があります。これらの試験は、宿泊業務に必要な専門知識や技能、日本での生活に対応する日本語能力を測定するものです。

宿泊分野特定技能1号評価試験
特定技能1号に必要な技能試験は、宿泊分野特定技能1号評価試験です。この試験では、宿泊業務で即戦力として活躍するための知識と技術を確認します。

試験内容
フロント業務: チェックイン・チェックアウトや観光地情報案内など
広報・企画業務: キャンペーンの立案やSNS情報発信
接客業務: 館内案内や問い合わせ対応
レストランサービス業務: 配膳・片付けなどの業務
安全衛生その他基礎知識: 宿泊業に関連する基本事項

試験形式と実施方法
形式: CBT方式(パソコンを使用した試験)
問題数: 学科試験30問、実技試験4問
合格基準: 学科・実技ともに正答率65%以上
受験料: 7,700円(税込)

試験実施地域
国内: 日本各地で実施
国外: フィリピン、インドネシア、ネパールなどアジアを中心に実施

日本語試験の要件
日本での生活や業務を支障なく行える日本語能力も必要です。次のいずれかの試験で基準を満たす必要があります。
日本語能力試験(JLPT)
レベル: N4以上
頻度: 年2回
特徴: 基本的な語彙や文法を理解し、日常会話が可能なレベル

国際交流基金日本語基礎テスト
特徴: 日本の生活場面に対応できる日本語能力を測定
実施頻度: 随時

試験結果と合格率
試験結果は、特定技能「宿泊」を取得するための外国人材のスキルや日本語能力を示す指標となります。
2024年2月の国内試験では、受験者489人中314人が合格し、合格率は約64%でした。

一方で特定技能2号試験は合格率が低く、2024年3月には受験者23名中1名が合格しています(合格率4.35%)。
宿泊業界で特定技能外国人を採用する際は、これらの試験要件を満たした人材を選ぶことが重要です。試験実施地域や頻度を確認し、受験の機会を確保するサポート体制を整えましょう。

特定技能2号取得の条件

特定技能2号は、特定技能1号の上位資格として設定されており、高度な専門性と熟練度が求められます。宿泊分野において特定技能2号を取得するためには、技能試験と在留期間中の実績など、複数の要件を満たす必要があります。

取得に必要な条件

特定技能2号を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
特定技能1号での実績特定技能1号での在留期間中に、宿泊業務において十分な経験を積むことが求められます。
雇用主からの評価が高く、継続的に雇用が見込まれることも重要です。

特定技能2号試験の合格
宿泊分野特定技能2号評価試験を受験し、合格する必要があります。
日本語能力のさらなる向上
特定技能1号で求められるN4レベル以上の日本語能力を持ちながら、業務上の高度な日本語コミュニケーション能力が必要です。

試験内容と難易度
特定技能2号試験は、1号よりも高度な専門知識や技術が問われます。

試験概要
学科試験: 宿泊施設の管理運営、労務管理、安全衛生管理に関する問題が出題されます。
実技試験: フロント業務や宿泊施設運営に必要な実務スキルを評価します。

試験の特徴
問題はより実践的で、管理職レベルの業務内容を想定しています。
合格率が低く、試験準備には十分な時間と対策が必要です。

試験対策のポイント

・業務経験を活用
特定技能1号の経験を基に、実際の業務と関連付けて試験対策を行いましょう。
・模擬試験の活用
試験問題に慣れるため、模擬試験を繰り返し解くことが有効です。
・雇用主からの支援
雇用主が試験対策のための研修を提供することが、合格への大きな助けとなります。

特定技能2号を取得することで、外国人材は長期間にわたり日本の宿泊業界で活躍できるようになります。難易度の高い試験ではありますが、業務経験を活かし、計画的な準備を行うことで、成功への道が開けるでしょう。

特定技能「宿泊」の採用プロセス

特定技能「宿泊」分野で外国人材を採用する際には、いくつかの重要なプロセスを経る必要があります。事前準備から選考、採用後のフォローアップまで、適切な手順を踏むことでスムーズな受け入れが可能になります。

採用の流れ

1. 求人の募集
まず、特定技能外国人を対象とした求人を作成します。この際、業務内容や労働条件を明確にし、日本人労働者と同等以上の待遇を提示する必要があります。求人は国内外の登録支援機関や求人サイトを活用して行います。

2. 候補者の選考
応募があった外国人材について、特定技能の資格を有しているかを確認します。技能試験や日本語能力試験の合格証明書を確認するほか、履歴書や面接を通じて適性を評価します。

3. 雇用契約の締結
候補者が決定したら、労働条件通知書をもとに雇用契約を締結します。この契約には、給与、勤務時間、福利厚生などを明記し、外国人が理解できる言語で提供することが求められます。

4. 在留資格の申請
雇用契約締結後、特定技能の在留資格申請を行います。この手続きには、労働契約書、支援計画書、技能試験の合格証明書などの書類が必要です。申請は、雇用主が代理で行うのが一般的です。

5. 入国・勤務開始の準備
在留資格が許可されると、外国人材は入国し、雇用先での勤務を開始します。この際、生活や勤務に必要な支援を適切に行うことが雇用主の責任です。

これらのステップを正確に進めることで、特定技能外国人の採用と受け入れがスムーズに行えます。また、手続きの各段階で必要な書類や条件を事前に確認しておくことが重要です。

登録支援機関の役割

特定技能外国人を受け入れる際には、登録支援機関の活用が非常に重要です。登録支援機関は、受け入れ企業に代わり、外国人材が日本で安心して働ける環境を整えるための支援業務を行います。

その役割は多岐にわたり、特に支援計画の策定と実行において重要な位置を占めています。

支援計画の重要性
支援計画は、特定技能外国人が働く際に必要となる生活面や業務面での支援を明確にした計画書です。この計画には、日本での生活に必要な情報提供や、雇用契約内容の説明、職場での問題解決支援などが含まれます。

計画を適切に作成し実行することで、外国人材が日本の職場や社会にスムーズに適応できるようになります。

登録支援機関を利用するメリット

専門知識の提供
登録支援機関は、特定技能制度や関連法令に精通しており、受け入れ企業が制度に適合した支援を行えるようサポートします。

手続きの効率化
支援計画の作成から日常的なサポートまで、一連の業務を代行するため、受け入れ企業の負担を軽減します。

トラブル防止
外国人材とのコミュニケーションや労働条件のトラブルを未然に防ぐためのアドバイスやサポートを提供します。

言語サポート
多言語での対応が可能な機関も多く、言語の壁によるコミュニケーション課題を解消します。

登録支援機関を利用することで、企業は外国人材の受け入れに伴う煩雑な手続きを軽減し、スムーズに採用活動を進めることができます。また、適切な支援を行うことで、外国人材の定着率を高める効果も期待できます。

特定技能「宿泊」のメリットと課題

特定技能「宿泊」分野は、慢性的な人手不足に直面する宿泊業界にとって、外国人材を確保するための有効な手段となっています。この制度を利用することで、業務の効率化やサービスの向上が期待される一方で、受け入れに際してはいくつかの課題にも対処する必要があります。

外国人材を採用することで得られる宿泊業界のメリット

宿泊業界で外国人材を採用することには、具体的かつ実践的なメリットがあります。

1. 多言語対応で訪日客へのサービス向上
外国人材が多言語に対応できることで、訪日観光客への接客がスムーズになり、顧客満足度が向上します。例えば、フロント業務では外国人のお客様が抱える言語の壁を解消し、予約やチェックイン、観光案内をスムーズに進められます。また、レストランや施設内での案内も多言語対応が可能となり、口コミ評価やリピーター率の向上が期待されます。

2. 労働力不足の解消
宿泊業界は慢性的な人手不足が課題ですが、外国人材の活用によりその問題を緩和できます。特定技能「宿泊」では、フロント業務からレストランサービス、さらには客室清掃に至るまで、多様な業務に従事可能です。これにより、繁忙期や夜勤など、日本人スタッフだけでは対応が難しいシフトを柔軟に補えるようになります。

3. 業務効率化とコスト削減
特定技能外国人材の採用は、業務の効率化にもつながります。例えば、ITスキルを持つ外国人材を採用すれば、予約管理システムやオンラインサービスの改善を迅速に進められる場合があります。これにより、従来手作業で行われていた業務が簡略化され、人件費や時間コストの削減が可能です。

4. 多文化共生による職場の活性化
多様な文化的背景を持つ外国人材との協働は、職場の活性化を促します。スタッフ間での相互理解が深まるだけでなく、創造性や問題解決能力の向上も期待できます。また、多文化共生の職場は従業員満足度を向上させ、離職率の低下にもつながるでしょう。

5. 海外市場への訴求力強化
外国人スタッフがいることで、SNSや口コミを通じた海外市場への訴求力も強化されます。例えば、外国人スタッフが母国語で情報を発信することで、ターゲット国のお客様をより効果的に取り込むことが可能です。

宿泊業界における特定技能外国人の活用は、単なる人手不足の解消にとどまらず、業務効率化や顧客満足度の向上、さらには国際的な競争力強化まで、多岐にわたるメリットを提供します。このような具体的な利点を理解し、積極的に取り組むことが、今後の宿泊業界の成長を支える鍵となるでしょう。

課題と対策

外国人材を宿泊業界に迎え入れる際には、いくつかの課題が存在します。これらに適切に対応することで、外国人スタッフの能力を最大限に活かし、職場環境をより良いものにすることが可能です。

1. 文化的な違いへの対応
宿泊業界では、日本の接客スタイルや礼儀作法が重要視されます。一方で、外国人スタッフは異なる文化的背景を持つため、こうした点で認識の違いが生じることがあります。たとえば、日本では「お客様は神様」といった精神で接する文化がありますが、この考え方に馴染みがないスタッフもいるかもしれません。

対策: 入社時のオリエンテーションや定期的な研修を通じて、日本の接客スタイルや職場でのマナーを共有することが有効です。また、文化的背景を理解し、お互いに尊重し合う職場環境を作ることが、スムーズなコミュニケーションの鍵となります。

2. 日本語教育の課題
多くの外国人スタッフにとって、日本語の読み書きや会話スキルは課題の一つです。特に、フロント業務や電話対応では高度な日本語力が求められます。これにより、業務が円滑に進まない場合や、ストレスが増加する可能性があります。

対策: 業務に必要な日本語スキルを明確にし、それに基づいた教育プログラムを提供することが重要です。オンライン学習ツールや地域の日本語教室を活用することで、効率的にスキルアップを図ることができます。また、簡単な業務マニュアルやチェックリストを多言語対応にすることも効果的です。

3. 採用後のサポート不足
外国人スタッフが日本の生活や職場環境に適応するには、採用後の継続的なサポートが欠かせません。住居探しや日常生活に関するサポートが不足すると、不安を抱えるスタッフが増え、離職率の上昇につながることもあります。

対策: 登録支援機関を利用して、生活面でのサポートを提供することが効果的です。さらに、メンター制度を導入し、日本人スタッフが相談役としてサポートにあたる仕組みを構築することで、安心して働ける環境を整えることができます。

課題を事前に認識し、対策を講じることで、外国人スタッフが安心して働ける環境を提供できます。これにより、宿泊業界における人材不足の解消だけでなく、サービス品質の向上にもつながるでしょう。

まとめ:特定技能「宿泊」分野で未来を築く

特定技能「宿泊」分野は、深刻な人手不足を抱える宿泊業界にとって、外国人材を活用する新たな可能性を提供しています。この制度を活用することで、多言語対応や多様な文化理解を強化し、サービスの質を向上させるだけでなく、新たな収益機会を生み出すことも期待できます。

しかし、成功を収めるためには、単に外国人を雇用するだけでは不十分です。採用プロセスや法的要件を正確に理解し、文化的な違いを尊重したサポート体制を整えることが不可欠です。また、登録支援機関や専門家の力を借りることで、よりスムーズに運用できるでしょう。

 

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