在留カードについて徹底解説!外国人雇用の基本を知るためのガイド
外国人雇用に関心を持っている人事担当者や経営層のなかには「在留カード」について、詳しく知りたいと思い調べている人もいるのではないでしょうか。
外国人採用を積極的に行い、人材不足の解消に繋げたいと考えている人もいると思います。在留カードとは何か、外国人雇用で覚えておきたい基本的な部分を詳しく説明していきます。
在留カードとは
在留カードとは、日本の中長期在留者に対して交付されるものです。日本で暮らしている外国人で、3ヶ月以上の在留期間があると発行されます。
偽造を防止するためのICチップが在留カードの両面に搭載されており、新規の上陸許可や在留期間の更新、在留資格の変更などの許可の結果を記したものです。ICチップを読み取ることで、在留カードの記載情報を確認できる仕様になっています。
在留カードがあることで、適法に在留していることを証明するものであり、旅券の各種許可の証印に代わって、許可証としての役割も持っています。
在留カードの概要
在留カードには、出入国在留管理庁長官が把握している情報のなかで、特に重要な部分が記載されています。16歳以上になると顔写真が表示される特徴があります。
また、在留カードの裏面には、在留期間更新許可申請・在留資格変更許可の申請中かどうかを記載する場所があり、許可されたあとに新しいカードが交付される流れになります。
変更事項があったときは、在留カード変更の届出を行い常に最新の状態にしておかなくてはいけません。
在留カード記載事項 | 氏名、性別、国籍、生年月日、居住地(地域)、在留期間や、在留番号、就労の可否など |
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在留カード「有効期限」は永住権の有無・年齢(16歳以上)によっても変わります。
永住者 | 16歳以上 交付日から7年間は有効 16歳未満 16歳の誕生日まで |
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永住者以外 | 16歳以上 在留期間の満了日まで有効 16歳未満 満了日もしくは、16歳の誕生日 ※いずれか早い日が対象になるため注意 |
参考: 在留資格 「永住者」と「特別永住者」とは。その違いは?
在留カードは携帯義務がある
在留カードを持っている外国人の場合、常に携帯する義務があります。外国人が旅行などで日本に滞在している時に、パスポートの携帯義務があるのと同様です。
携帯義務を怠ると、20万円以下の罰金となってしまいます。外国人にとって、本人確認の証明書であり、顔付きの身分証明書としての役割を持っています。銀行口座を開設するときや、携帯を契約する時にも、在留カードが必要です。
在留カードで確認するべき事項
外国人採用で、在留カードを確認するときは、以下の内容を確認するようにしましょう。
・在留資格
・就労制限の有無
・在留期限
在留資格
在留資格の内容も限られているため、就労できない資格を持っている人を働かせてしまうと「不法就労」となってしまう可能性があります。
例えば、在留資格には「特定技能1号」や「技能」「留学」などの記載が表示されています。具体的には全部で29種類の在留資格があり、定められた範囲内で就労できます。
外交 | 外国政府大使や公使本人もしくは、同一世帯に属する家族が対象 |
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教授 | 大学や専門学校の教授や研究者、指導、教育を行う |
公用 | 大使館や領事館の職員や同一世帯に属する家族が対象 |
芸術 | 収入のある作曲家や小説家、美術・音楽・文学などの仕事をしている |
宗教 | 布教や宗教活動を行っている団体や個人 |
報道 | 記者・カメラマンなどの外国との報道機関との契約に基づき行う活動 |
高度専門職 | 1号は法務省令似て定められた高度人材であり、公私の機関で研究し、指導や教育、自然科学、人文科学の分野に属する知識や技術などの活動。2号はこれらの活動を行い、日本にとって利益に資する基準などの活動 |
医療 | 法律上の資格を有する、医師や歯科医師などの業務に従事しているもの |
研究 | 大学以外の政府機関や私企業の研究職についている |
教育 | 日本の教育機関で語学教育を行う活動 |
経営・管理 | 企業経営や管理者などの活動を行うもの |
法律・会計業務 | 法律上の資格を有する、外国法事務弁護士や公認会計士などの業務を行う |
技術・人文知識・国際業務 | 日本で人文科学の文やに属する技術や知識に関わる業務。例えば、通訳や語学講師などの仕事を行っているもの |
特定技能 | 日本で人材を確保することが難しい特定産業において、知識や技術をもって業務に従事するための活動を行っているもの |
企業内転勤 | 日本に本店や支店があり、事務所のある機関の外国にある事業所の職員が期間を定め転勤する活動 |
介護 | 介護福祉士として、日本で介護の仕事を行う業務 |
興行 | スポーツ選手や俳優・歌手などの演芸や演劇に関わるような活動を行っているもの |
技能 | 産業上の特殊な分野に対して、熟練した技能を有するもの |
技能実習 | 技能実習生として、講習を受け技術などに係る業務に従事する活動 |
在留カードの在留資格が、家族滞在や留学、特定活動になっているときは、就労制限が設定されていることがほとんどです。外国人を採用するときは、在留カードの中身を必ず確認するようにしましょう。日本で就労が認められていない在留資格として、「文化活動」「留学」「家族滞在」「短期滞在」「研修」があります。
具体的には以下のような在留資格が該当します。
文化活動 | 日本文化の研究職など |
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留学 | 大学、専門学校などの学生 |
家族滞在 | 就労資格などで在留している外国人の家族 |
短期滞在 | 観光客や、会議に一時的に参加する |
研修 | 研修生など |
例えば、在留資格に該当しない留学生が日本で就労したいときは出入国在留管理庁から「資格外活動許可」を取得し、アルバイトとして就労する選択肢もあります。
資格を取得すれば、週に最大28時間まで就労ができるようになります。
ただし、これらは「単純労働」といい専門的な知識や技術を必要としない仕事です。
短期間の訓練でも仕事ができる単純なものが対象になり、コンビニや飲食店のホールなどが該当します。単純労働向けの在留資格がない外国人に対して、単純労働を任せることは禁止されています。
就労制限の有無
在留カードの表面の真ん中あたりに「就労制限の有無」という欄があります。
記載されている文言によっても、就労できる範囲が変わってきます。具体的にどのような違いがあるのか、まとめて説明します。
就労制限なし
制限なく採用できる
就労不可
原則採用不可。資格外活動許可欄の記載事項によって、採用できる場合もある
在留資格による就労活動のみ可能
在留資格の範囲内でのみ採用できる
指定書記載期間のみ就労活動可能
認定を受けた機関のみ採用できる
指定書に指定された就労活動のみ可能
パスポート記載の指定書の範囲内のみ採用できる
就労不可と在留カードに記載があっても、カードの裏側に「週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があるときは、雇用しても問題ありません。
在留期限
在留カードの有効期限と、在留期限は似ているようで全く別のものです。
具体的には以下のような違いがあります。
在留カードの有効期限
身分証明書代わりとなる在留カードの有効期限です。期限が切れてしまうと在留cardは使えなくなりますが、在留資格が消えてしまうわけではありません
在留期限
在留資格そのものの有効期間満了日のことをいいます。外国人が日本で滞在するうえで重要な期間になり、在留期限を過ぎると不法滞在者扱いになってしまいます
※在留カードの期限が過ぎてしまったときは、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となり、退去強制になってしまう可能性もあります。
在留資格関連の手続きについて
外国人を採用するときに、転職者もしくは留学生の新卒者を採用する場合もあると思います。それぞれによって手続きの内容が変わってくるので、人事担当者の方はしっかりと把握しておきましょう。在留資格関連に必要な手続きの方法を説明します。
新卒採用
新卒採用の場合、以前は「留学」になっている在留資格を入社後の職種に適した資格に変更するための手続きが必要になります。そのため「在留資格変更許可申請」を行うようにしてください。
転職(中途)採用
基本的には、現在の在留資格のままで期間満了になるまでは就労できます。新卒とは違い所定の手続きはないので、比較的スムーズに手続きできます。採用している間に期間満了になったときは「在留期間更新許可申請」の手続きを行うようにします。
もし、同じ職種かどうか不安に思っている、判断できず採用を迷っているのであれば「就労資格証明書交付申請」を行い確認するようにしてください。
いずれも更新作業は時間がかかるので「許可」になるまで、1か月~3か月程度の時間がかかることを覚えておきましょう。必要な書類も変わってくるので、外国人採用を増やしていきたいと考えているのであれば、専門家に相談する方法もあります。
在留カードについての注意点
在留カードに関する注意点を以下に説明します。
・特例期間の記載があるか(有効期限)
・個人情報に配慮すること
・不正な在留カードでないか
・在留カードの番号失効情報を確認する
以下で詳しく説明します。
特例期間の記載があるか(有効期限)
在留カードの有効期限が切れているかどうかを確認しましょう。カード表面の最下部に記載があります。在留カードの在留期限が切れていても「特例期間」になっているケースもあります。
在留資格の更新・変更の手続きをしているケースになり審査中であることを証明するものです。在留カードの裏面を見ると「在留期間更新等許可申請欄」の申請を行なっているかどうかが確認できるようになっています。
在留資格のなかでも、就労ができる人は、特例期間であってもそのまま仕事を続けられます。特例期間かどうか、在留カードの裏面を確認するようにしてください。
個人情報に配慮すること
在留カードには、個人情報が多く記載されています。個人情報保護法の対象となるため、十分に配慮する必要があります。個人情報を取り扱っている認識を持っておく事はもちろん、勝手に第三者に情報を開示しないようにしてください。
また、在留カードの提示を求めるときは必ず、本人の同意を得たうえで行います。社内の保管方法にも十分に注意したうえで、個人情報の扱いがおざなりにならないように注意しましょう。
不正の在留カードでないか
在留カードのなかには、偽造しているものもあります。
必ず原本の在留カードを提示してもらうようにしてください。コピーや写真になると、改造・改ざんを判断するのが難しくなります。
もし偽造だった場合、原本を確認していなかった企業側にも罪が問われてしまう可能性が出てきます。
在留カードの偽造を見分けるための「偽造防止対策」がとられています。
具体的には以下のような偽造防止対策が施されています。
・カードを左右に動かすとMOJのホログラムが3D的な動きをする
・カードを上下に傾けるとMOJの文字の周囲の絵柄が、ピンク→グリーンに変化
・カードを上下に傾けると左端がピンクに変化する
・文字の白黒部分が反転する
・暗い場所で確認するとカードの透かし文字が見える
以上の5点を把握しておけば、目視で見極めることもできます。
在留カードの番号失効情報を確認する
在留カードの番号が有効かどうかを確認するようにしましょう。出入国在留管理庁で提供している「在留カード等番号失効情報照会サイト」にて調べることができます。
在留card番号と有効期限を入力する欄があるので、カード情報を入力して問い合わせをするだけです。平日のみしか利用できませんが、17:00~20:00のメンテナンス時間以外は使えます。
ただし、正規の在留カードの番号や有効期限で作られた偽の在留カードも出回っているため、あくまでも判断基準の一つとして調べてみて確認するのをおすすめします。
不正の在留カードに気付けないまま採用してしまうと、トラブルの原因となってしまうことも考えられます。不正の在留カードではないか確認しておきましょう。
まとめ
在留カードについて、知らないことも多く最初は難しく感じるかもしれません。採用を決めても、在留カードに不備があり採用できなくなってしまうことのないように、適切な知識をつけておき、在留カードに対応できるようにしておいてください。
また、申請は早めに手続きを行い、偽造カードを見極められるようにしておきましょう。