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特定技能「産業機械製造業」人材採用の実践ガイド

産業機械分野

産業機械製造業界は、技術革新の速度が速く、高度な技術力を持つ人材の確保が経営の成功に直結しています。しかし、国内での技術者不足が続いている現状では、特定技能ビザを活用した外国人技術者の採用を検討する企業も数多いのではないでしょうか?

本記事では、優秀な特定技能人材の採用を考える企業経営者、人事担当者のために、産業機械製造業における特定技能の採用手順、そのメリットとデメリットと実践的なガイドを提供します。ぜひ参考にしてください。

特定技能「産業機械製造業」分野とは?

産業機械製造業は、高度な技術と精密作業を要求される分野であり、日本国内では人手不足が深刻化しています。この問題を解決するために導入されたのが、「特定技能」ビザ制度です。この制度を通じて、外国からの技術者が日本の製造業分野に新たに参入する道が開かれました。

以下では、この「産業機械製造業」における特定技能の具体的な概要と、現在の人材就業の状況について詳しく解説します。

特定技能「産業機械製造業」の概要

特定技能「産業機械製造業」分野における人手不足は深刻な問題となってきており、特定技能制度の導入により、 49,750人(令和5年度末までの5年間) の外国人技術者を 5 年間で受け入れることができるようになりました。しかし、実際の受け入れ人数は予定を大きく下回っており、特にベトナムなどからの人材流入が遅れているため、今後も積極的に人材受け入れを増やす方針が政府から打ち出されています。

「産業機械製造業」においては、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理など主要な技能分野で、特に特定技能人材の需要が増えています。

この制度のメリットは、即戦力となる技術者を確保できる点にありますが、一方で、文化や言語の違いによるコミュニケーションの壁が挙げられます。また、技能実習からの移行が主な受け入れルートであるため、技能水準の維持と評価が課題となっています。

なお、特定技能の製造業分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)は、令和6年3月政府決定により、「工業製品製造業分野」に名称が変更され、新たな業種や業務区分が追加されることが決まっています。

特定技能「産業機械製造業」に該当する業種とは?

産業機械製造業分野における特定技能の受け入れ対象となる業種を正確に理解することは、企業の人事担当者や経営層にとって重要です。
特定技能「産業機械製造業」に該当する業種は、以下のとおりとなっています。

業種名 説明
機械刃物製造業 金属加工、木材加工、パルプ及び製紙機械など特定の機械に取り付けられる刃物の製造を行う業種。
ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業 各種ファスナー類の製造を専門とする業種。
はん用機械器具製造業 一部の消火器具・消火装置製造を除く、さまざまな工業用機械器具の製造。
生産用機械器具製造業 素形材産業分野を除く、生産プロセスに使用される機械器具の製造。
業務用機械器具製造業 事務用、サービス用、娯楽用、計量・測定・分析・試験・測量機器、理化学機械器具、光学機械器具・レンズ製造業を含む。

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野において、ご自身の会社が受け入れ可能な事業所かどうかは、上記事業分類に基づき確認していただく必要があります。

【参考】
https://www.sswm.go.jp/assets/img/top/gaikokujinzai.pdf

特定技能「産業機械製造業」で外国人材が行うことのできる業務

特定技能「産業機械製造業」で外国人材が行うことのできる業務

特定技能制度は、産業機械製造分野においても重要な役割を担っており、外国人材が行うことができる業務内容は多岐にわたります。

2022年に改正された特定技能の業務区分では、従来の19区分が3区分に統合されました。これにより、以下の主要な業務に焦点が当てられています。

機械金属加工

このカテゴリーでは、素形材製造や機械製造に必要な材料の加工技能が求められます。外国人技能実習生は、工場内の安全性に関する基本的な知識と経験を活かしながら、鋳造、機械検査、鍛造、機械保全などの業務に従事することができます。

電気電子機器組立て

電子機器や電気機器の組立てに関連する業務で、ダイカスト、電子機器の組立て、プリント配線板製造などが含まれます。安全衛生を遵守しつつ、精密な作業が求められる分野です。

金属表面処理

めっきやアルミニウム陽極酸化処理など、金属の表面加工を担う業務です。化学的知識とともに、工場内の安全管理に関する知識が必須とされます。

これらの業務に加えて、特定技能外国人は、原材料や部品の調達、搬送作業、前後工程作業、クレーンやフォークリフトの運転、清掃や保守管理などの関連業務にも従事することが可能です。ただし、これらの関連業務に専ら従事することは認められていません。

採用する際には、これらの業務内容を明確にし、外国人材がその能力を最大限に発揮できるようにサポートしていくことが求められるでしょう。

【参考】
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/pdf/20220902_2.pdf

産業機械製造業分野の企業が特定技能人材を採用するための条件

産業機械製造業の分野で特定技能外国人材を企業が採用するための、企業側の要件についてご紹介します。

事業所が日本標準産業分類に該当

特定技能外国人材を採用する産業機械製造業の事業者は、「日本標準産業分類」に該当している必要があります。この分類には、機械刃物製造業やはん用機械器具製造業など、具体的に10業種が指定されています。

特定技能人材の支援体制の義務

採用後の外国人材の適切な支援体制の整備が求められます。これには、日本語学習の機会の提供や事前ガイダンスの提供などが含まれます。特定技能所属機関は、必要に応じてこれらの支援業務を登録支援機関に委託することもできます。

産業機械製造業分野特定技能協議会への加入

企業は、経済産業省が組織する産業機械製造業分野特定技能協議会に加入する必要があります。加入は、外国人材の受け入れ前に完了している必要があり、加入手続きには数カ月を要することがあります。

雇用形態

採用される外国人材は、直接雇用される必要があり、派遣形態での雇用は認められていません。

給与

給与は、同じ職種の日本人と同等以上を保証することが求められます。特定技能の外国人材には、安定した収入を提供する月給制が推奨され、技能の向上に応じた昇給のシステムを導入することが望まれます。

このような条件を満たすことで、産業機械製造業分野では、技能ある外国人材を適切に受け入れ、また、人材が定着する体制構築へとつながるでしょう。

「産業機械製造業」分野の採用における注意点とは?

産業機械製造業において特定技能外国人材の採用は、多くの企業にとって有効な解決策ですが、その成功にはいくつかの重要な注意点があります。適切な人材の選定から文化の違いの理解まで、細かい配慮が求められます。
以下で、採用プロセスの各段階における重要なポイントを解説します。

人材の選定

産業機械製造業での特定技能外国人材を選定する際は、技能や日本語能力だけでなく、その人の適応力やコミュニケーション能力も重視する必要があります。適切な人材を選定することで、長期的に企業に貢献し、定着率も向上させることができます。

継続的な教育・研修

採用された特定技能外国人には、継続的な教育と研修を提供し、彼らの技能向上やキャリアアップを支援することが重要です。これにより、労働者の満足度や生産性が向上し、企業全体の発展につながります。

文化の理解と尊重

特定技能外国人が日本の文化や習慣に馴染むことは非常に重要です。しかし、企業側も労働者の文化や価値観を理解し、尊重することが求められます。異文化間のコミュニケーションをスムーズに行うために、社内の国際化に取り組むことが重要です。

特定技能人材とのコミュニケーション

定期的な面談やフィードバックを通じて、労働者の悩みや要望を聞くことも非常に重要です。これにより、労働者が働きやすい環境を整えることができ、企業と労働者双方の満足度を高めることができます。

産業機械製造業分野で特定技能外国人材を成功裏に採用するためには、これらのポイントに注意を払い、適切な戦略を立てることが不可欠といえるでしょう。

「産業機械製造業」分野の採用成功事例

ここでは、「産業機械製造業」分野の特定技能の採用プロセス、実際の業務内容、及び企業に与える影響について具体的な事例を紹介します。

事例1)愛知県A社

愛知県東海市に本社を構えるある製造会社では、従業員数約3,000人の中で、特にインドネシア、タイ、ベトナム、中国、フィリピン出身の外国人技能実習生を特定技能1号に移行させています。これらの外国人材は主に、鋼材の製造や電子部品の最終検査といった重要な業務に従事しており、その技術と熱意が会社の品質保持に大きく貢献しています。

採用プロセスでは、まず自社で技能実習を終えた外国人材に対して在留資格の変更を提案し、彼らの希望と適性を考慮して特定技能1号として迎え入れています。彼らの役職は技能実習生のリーダーやロールモデルとして重要な位置を占めています。また、社内外での日本語の指導や学習支援も積極的に行っており、技能実習生が社会や職場でスムーズに適応できるように支援しています。

特に注目すべきは、これらの外国人材が社内でどのように活躍しているかです。例えば、Nさんは技能実習を経て特定技能1号となり、「上司や同僚が困りごとや意見をしっかりと聞いてくれる」と話します。Hさんもまた、技能実習を終えて特定技能として活躍しており、「情熱を持って仕事に励むことができている」と語っています。

事例2)和歌山県B社

この企業では、特定技能1号の外国人材を積極的に採用し、業務用空調機用板金や工作機械用カバー板金部品の製造に携わらせています。

同社では、技能実習3号を修了したタイ人や他社の技能実習2号を修了したインドネシア人、中国人を特定技能1号へと移行させています。特に、ジョブフェアを通じた採用や登録支援機関の紹介も活用し、多様なルートから優秀な人材を獲得しています。日本に帰国した技能実習生の中から、日本語能力が高く意欲的な人材を再採用するケースも見られます。

採用された特定技能外国人材は、金型取り外しや金属プレス加工、プレスブレーキを用いた板金加工など、高度な技術を要する業務を担当しています。彼らは自立して一連の作業を行い、日本人社員と同等の役割を果たし、後輩の指導役も務めています。

同社は資格取得を支援する体制も整えており、日本語能力試験やビジネス・キャリア検定の受験費用を支援しています。特に日本語能力試験では、合格した場合には手当をつけるなど、モチベーションの向上を図っています。

これらの事例から、特定技能外国人材の採用は、技術力の向上、社内の多様性の促進、そして文化的な理解の深化に寄与していることがわかります。産業機械製造業においては、このような外国人材の活躍が今後も期待されています。

まとめ

この記事では、産業機械製造業の概要から特定技能の人材就業の状況、該当する業種、外国人が行うことのできる業務、採用の条件と注意点を説明しました。
さらに、実際の採用事例をもとに、特定技能人材の採用が企業に与えるポジティブな影響についても触れました。

これらの情報は、産業機械製造業での人材不足を解消し、国内外の技術者が協力してより良い製品を創出するための基盤となります。

TSBケアアカデミーでは、産業機械製造業を対象とした人材採用サポートを提供しております。外国人技能実習生の選定から特定技能への移行サポート、さらには彼らの長期定着を目指した各種プログラムまで、一貫した支援を行っています。

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